
「パニック状態に陥った広場で、アメリカ大統領狙撃の瞬間を目撃したのは国
籍、職業、性別、すべてが異なる8人。しかし、彼らが見たものはそれぞれの立
場、場所によって食い違っていた。果たして、全ての視点の先にはどんな真実が
隠されているのか!?」…狙撃事件を目撃、あるいは事件に関与した8人―TV
ディレクター、シークレットサービス、刑事、旅行者、大統領自身、犯人―の視
点で繰り返し描くという斬新な手法を駆使。観る者に登場人物には見えない事実
を、さながらジグゾーパズルのピースを揃えるように開陳しつつ、最後に異なる
8人それぞれの視点が揃った時、隠された真実が一気に暴かれるというスピード
感溢れる演出はまさに出色。最後の最後まで手に汗握る展開は、大統領狙撃、国
際テロ、サミット、ハイテク捜査など“米国大統領選挙の年”にふさわしいファク
トをふんだんに盛り込んだアップ・トゥー・デイトなポリティカル・サスペンス
として仕上がっている。
「バンデージ・ポイント」とは、直訳すれば「有利な地点、見晴らしのきく場
所」という意味であるが、とすれば、「観客席」は、まさに「9つ目のバンデー
ジ・ポイント」。当然ながら、その場所は8ヶ所のバンデージ・ポイントを見渡
せる断然の“スペシャル・シート”のはずなのだが、それでも観客をぐいぐいとス
クリーンに引き込む迫力満点の描写は、さすがは『ワイルド・スピード』『トリ
プルX』『S.W.A.T』のニール・H・モリッツが製作を、『キング・オヴ・ファイ
ヤー』のピート・トラヴィスが監督を務めているだけのことはある。
キャスティングもまたナイスである。『エデンより彼方に』『オールド・ルー
キー』のデニス・クエイド、TVドラマ『LOST』の外科医役で一躍メジャー
俳優の仲間入りをしたマシュ―・フォックス、映画・舞台・脚本・監督と多才ぶ
りを発揮、『ラストキング・オブ・スコットランド』では多くの賞に輝いたフォ
レスト・ウィッテカー、『エイリアン』『愛は霧の彼方に』『ワーキング・ガー
ル』のシガーニー・ウィーヴァー、『白いドレスの女』『『蜘蛛女のキス』の
ウィリアム・ハートなど演技に定評のある渋い面々がズラリ、作品に一層の重み
を加えている。
(文・構成 和気 洸)
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