
「パリの闇に生きる男たちの、この生き様、この面構え。生き残ることだけが
ただ一つの掟といえる暗黒街で、墓標など望まぬままに殺し、殺される悪党ども
」…甘さなし!容赦なし!…待ってました!…ギャング映画といえばフランス!
…2月末、そのギャング映画の本場フランスから激辛の“ハード・ノワール”が
スクリーンに登場する。
「フランク(=ブノワ・マジメル)は自分のためにしか動かない一匹狼の殺し
屋。仲間のジャン=ギイ(オリヴィエ・マルシャル)とともに暗黒街の危ない仕
事を引き受けている。過去は語らない。誰にも仕えず、誰をも愛さない。その冷
静な頭脳と非情な働きで闇社会を牛耳る男クロード(フィリップ・コーベール)
の信頼を得ている。クロードは、いささか時代遅れの暗黒街の帝王だが、些細な
きっかけで投獄されてしまう。一体、誰の陰謀なのか。主人なき混沌の街、裏切
りに次ぐ裏切り。誰が敵で誰が味方なのか。殺戮の連続の中、果たしてフランク
はこの“闇”を脱出できるのか」…ギャングが社会の“産物”だとすれば、社会
が変わればその有り様も社会にふさわしいギャングのみが生き残れるというのは
自明の理。洋の東西を問わず、価値観が変われば、人情も友情も当然に変質。す
べての面で自己中心主義が蔓延する時代にあっては、特に道義、仁義を重んじる
裏社会の面々が絶滅するのは当たりマエダのクラッカー!?…これぞ“格差社会”
…なるほど“心と情”を歌う“演歌”が廃れるのもむべなるかな。(嗚呼!)
閑話休題…「闇の向こう側から男が歩いてくる。たばこをくゆらせ、サングラ
スで表情はわからない」「アフリカの眩しい要綱がきらめく。セネガル、ダカー
ル。光の向こうへ男が歩いていく。男は独りだ。煙草をくらせている」「彼が消
えていく光の影に、裏切りに終止符が打たれる日など決して来ない、あの闇が見
える」…オープニングからラストまでフレンチ・ノワールの旗手フレデリック・
シェンデルフェールならではのカメラ・ワークはさすが!…人間の本能・権力欲
・支配欲・所有欲・金・暴力を赤裸々に描いたこの映画は、まさしく我々の社会
を映す“鏡”である。
(文・構成 和気 洸)
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