
長崎県波切島。喘息の治療中に両親(光石研、山下容莉枝)に連れられて船釣
りに出た小学生の奈緒子(藤本七海)は過って海に落ちてしまう。そんな彼女を
雄介の父親・健介(嶋尾康史)が助け、命を落とした。それから数年後、雄介(
三浦春馬)は、“日本海の疾風”と呼ばれる天才ランナーに育ち、奈緒子(上野
樹里)はそんな彼と東京で偶然再会する。だが、ふたりの時間はあの日以来止ま
ったままになっていた。やがて、彼らの複雑な事情を知った波切高校陸上部の西
浦監督(笑福亭鶴瓶)が、奈緒子を夏合宿の期間だけマネージャーとして迎え入
れる。こうして奈緒子と雄介、高校駅伝長崎県代表を目指す部員たちの忘れられ
ない夏が始まる」…94年から01年までの約8年間にわたって『ビッグコミッ
ク スピリッツ』に連載された同名の人気漫画(作・坂田信弘、画・中原裕)が
『ロボコン』(03年)『さよならみどりちゃん』(04年)で注目を集めた古
厩智之監督の手によって映画化された。
現在60歳、元自衛隊員でプロゴルファーという異色の経歴を持つ坂田信弘だ
けに本作も“熱い思い”がテンコ盛り。今や国民的スポーツの域に達した感のあ
る駅伝を題材に感動と涙の青春賛歌を高らかに歌い上げている。
キャスティングもグッド!…『スウィングガール』『笑う天使』『出口のない
海』などに出演、将来の大女優の片鱗を見せる上野樹里。NHK朝の連続テレビ
ドラマ『ファイト』の岡部聖也役とはひと味もふた味も違う演技の三浦春馬。そ
して独特のキャラクターでテレビ、ラジオで大活躍、紅白歌合戦の司会役を務め
た笑福亭鶴瓶などまさに本作にピタリのハマリ役。…映画ならではの“言葉にな
らない感情”を見事に表現、古厩監督の期待に見事に応えている。
「何が何でも次の走者に渡さなければならない」…タスキは駅伝にはなくては
ならない小道具だが、単にバトンの役目を果たす布切れに非ず!…“心と心を繋
ぐ連結器”だが、タスキを手渡すシーンは映画のラスト近くで、離れ離れになっ
ていたふたりの心を結ぶ象徴として登場、“大役”を果たしている。
原作良し!キャスティング良し!…小粒ながら爽やかさ満点の新春イチオシの
良質映画である。
(文・構成 和気 洸)
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