
「世の中には知らないほうが幸せなことがたくさんあるんだよ!」…まさに至
言!…世界中の人々が毎日嬉々として口に運ぶファーストフード業界の恐るべき
内幕を描いた問題作である。
原作は常にタブーに挑戦する社会派ジャーナリスト、エリック・シュローサー
のルポルタージュ「ファストフードが世界を食いつくす」(草思社)。
登場人物は、利潤の追求に専心するハンバーガー・チェイン「ミッキーズ」の
本社幹部。劣悪な労働条件の下、下請けの精肉工場で酷使されるメキシコからの
不法移民。時給を稼ぐために怠惰に勤務時間をやり過ごす学生アルバイトたち。
…生産から販売まで、一連の作業のなかで本来なら交わることのない三者が“牛
肉パテへの大腸菌混入”という事件を契機にドッキング。「食の安全性・格差社
会・環境破壊」という現代社会が抱える問題を炙り出していく展開だが、ファー
スト・フード業界の実態を赤裸々に描く本作を観たムキは、余程の“ハンバーガ
ー狂”でもない限り、明日からハンバーガー・ショップに足を
運ぶことに躊躇するのではあるまいか。
今や我が国でも、食の世界のみならず、あらゆる業界で“インチキ花盛り時代
”に突入。不二家、ミートホープから赤福、吉兆。ニチアスに栗本鉄工。清水建
設、竹中工務店に至るまで名門、老舗といわれる企業の組織的な悪事が毎日のよ
うに社会面を賑わせている。…一体、いつから斯くもさもしい企業が跋扈するよ
うになったのか?…経営効率という名の拝金主義のせいかもしれないが、それが
社会全体にもたらす“副作用”の大きさは精神の荒廃、生命・健康に対する侵害
、雇用の不安定さという、測り知れない害悪をもたらしていることを考えるべき
であろう。
それにしてもショッキングだったのは、食品香料業界がヨーロッパの香水業界
をルーツとしている点で、今もほとんどの香りと味が香水工場で作られていると
いう事実には絶句するしかない。
まさしく「貧乏人はファースト・フードを食え」。…儲かりさえすれば食する
人間のことなど二の次、三の次。…まず日本では絶対に製作されることのな
い映画として★印のみならず赤丸をも進呈しておきたい!
(文・構成 和気 洸)
|